ピアルーティング関係を作成するには#

デフォルトでは、 2 つの OVN ネットワーク間のトラフィックはアップリンクのネットワークを経由します。 しかし、パケットが OVN サブシステムから出てホストのネットワークスタック (そして、場合によっては外部ネットワーク) を通過し対象ネットサークの OVN サブシステムに戻る必要があるため、この経路は非効率です。 ホストのネットワークの構成によっては、利用できる帯域幅が制限される場合があります(ホストの外部ネットワークより OVN のオーバーレイネットワークが広帯域幅のネットワークにある場合)。

このため、 LXD では 2 つの OVN ネットワーク間でルーティング関係を作成できます。 この方法を使うと 2 つのネットワーク間での通信がアップリンクのネットワーク経由ではなく OVN サブシステム内で完結できます。

ネットワーク間にルーティング関係を作成する#

2 つのネットワーク間にルーティング関係を作成するには、両方のネットワークにネットワークピアを作成する必要があります。 関係は双方向でなくてはなりません。 1 のネットワークだけセットアップした場合、ルーティング関係はペンディング状態になり、アクディブにはなりません。

ピアのルーティング関係を作成する際は、対象のネットワークとの関係を特定するピアの名前を指定します。 名前は自由に選ぶことができ、後で関係を編集または削除する際に使用します。

同じプロジェクト内のネットワーク間でピアのルーティング関係を作成するには次のコマンドを使います。

lxc network peer create <network1> <peering_name> <network2> [configuration_options]
lxc network peer create <network2> <peering_name> <network1> [configuration_options]

別のプロジェクトの OVN ネットワーク間でピアのルーティング関係を作成することもできます。

lxc network peer create <network1> <peering_name> <project2/network2> [configuration_options] --project=<project1>
lxc network peer create <network2> <peering_name> <project1/network1> [configuration_options] --project=<project2>

重要

プロジェクトまたはネットワークの名前が間違っている場合、コマンドは対応するプロジェクトやネットワークが存在しないというエラーは出さず、ルーティング関係はペンディング状態のままになります。 これは他のプロジェクトのユーザがプロジェクトやネットワークが存在するか調べられないようにするための (訳注: セキュリティ上の) 仕様です。

ピアのプロパティ#

ピアのルーティング関係には以下のプロパティがあります。

プロパティ

必須

説明

name

string

yes

ローカルネットワーク上のネットワークピアの名前

description

string

no

ネットワークピアの説明

config

string set

no

設定のキーバリューペアー (user.* のカスタムキーのみサポート)

target_project

string

yes

対象のネットワークがどのプロジェクト内に存在するか (作成時に必須)

target_network

string

yes

どのネットワークとピアを作成するか (作成時に必須)

status

string

--

作成中か作成完了 (対象のネットワークと相互にピアリングした状態) かを示すステータス

ルーティング関係の一覧を表示する#

ネットワークのネットワークピア全ての一覧を表示するには次のコマンドを実行します。

lxc network peer list <network>

ルーティング関係を編集する#

ネットワークピアを編集するには次のコマンドを実行します。

lxc network peer edit <network> <peering_name>

このコマンドは YAML 形式のネットワークピアを編集モードで開きます。